第47回全日本オセロ選手権の準決勝の対戦結果について

中島哲也八段と沖崎響四段 (当時) の準決勝 (以下、本対戦) において、一度提出された
対戦カードの内容の訂正を認める事象が発生しました。
これについて、その経緯、判断の妥当性、今後の再発防止策についてご報告します。

1. 経緯

本対戦において、沖崎四段の勝利として対戦カードが提出された後、
中島八段からの要請により、審判立ち会いの下、当事者間で以下の経緯が
確認された。
1. 沖崎四段は最終手を打ち、石を返したが、その後、時計を止める事を忘れた。
2. 沖崎四段は対戦結果を、中島八段に確認した。
3. 確認行為に対し、中島八段は応答せず、試合中と同じ姿勢を保っていた。
4. 沖崎四段はこれを暗黙の了解と誤解し、対戦カードに記入し提出した。
5. その後、沖崎四段の持ち時間がなくなり、時間切れとなった。

以上の確認された経緯から、当事者間で以下について合意された。
– 沖崎四段が記入した対戦カードの内容に中島八段が合意していないこと
– 沖崎四段の持ち時間がなくなり、時間切れとなったこと

その結果、当事者間で以下の結論に至った。
– 本対戦は沖崎四段の時間切れにより、中島八段の勝利であること

上記結論について、下記「当事者間の合意内容の妥当性について」にあるとおり、
ルールに則った妥当な結論である、と審判団は判断した。

そして、提出された対戦カードは、ルール細則17「(前略) 勝者は、双方の
記入内容を確認する義務を負い (後略)」を充たしていないため、ルール細則17
「(前略) 訂正は原則として認められない。」の「原則」には該当しない、
と判断し、対戦カードの内容の訂正を認めることとした。

また、誤った内容の対戦カードを提出した沖崎四段については、
上記で確認された経緯から悪意がないことは明白であるため、
不問とすることとした。

2. 当事者間の合意内容の妥当性について

ルール細則8に「対局者は、着手を完了するたびに、自分の時計のボタンを
押さなければならない。(後略)」、ルール細則9に「最終手を打ち終わった
対局者は、時計を止めて、最終手に不正がないかどうか、また、自分の
持ち時間が残っているかどうかを相手に確認させなければならない。(後略)」と
ありますが、経緯1によると沖崎四段はそれを実施しておらず、
中島八段がまだ何の確認もしていないため、この時点でまだ沖崎四段の手番が
完了しておらず、試合が継続していると中島八段が判断することを
誤っているとは言えない。

また、経緯2における沖崎四段による対戦結果の確認行為が試合終了の確認
(最終手に不正がないかなどの確認) を兼ねている、と捉えられなくもないが、
本来、対戦結果の確認は試合終了後に行うべき行為であり、試合中にできる発言は
原則としてルール上に明記されている「不正着手の指摘」と「パス」、
「パスの確認行為」のみ、と中島八段が考えることも誤っているとは言えない。

特に本対戦は全日本選手権無差別の部の準決勝という日本を代表する選手同士の
対戦であり、中島八段が対戦相手である沖崎四段にルール細則8、9の遵守を
期待することを誤っているとは言えない。

また、ルール細則9は十分に周知徹底されており、全日本選手権に
出場するような選手であれば当然知っているべきことと認識している。

以上により当事者間の合意内容は妥当だと判断しました。

3. 再発防止策

今後、時計を押すことの重要性について、さらなる周知徹底を進めていくことで、
再発を防止していきたい。

以上 一般社団法人日本オセロ連盟理事会