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オセロ史を飾った百人の名選手の物語
(第1回)“X打ちの謎”



1.基本図(実戦で勝つための指南役)

ホシ

狙え(つねに)
エックス

大危険
 

安全 70%以上
 

安全 60%以上
 

危険 70%

(「オセロの勝ち方」河出書房新社P14より転載)

 基本図を頭に入れ、実戦では途中では少なく返すことを心掛けましょう。これだけであなたの勝ち率は大幅にアップします。

注1 Tさん(女性)からの相談「家庭でよくオセロをやりますが、小2の孫に連戦連敗です。どうしたら対等に打てるようになりますか?」この種の質問はよくあり、1つの質問の裏には千の実例が存在するとされています。
 Tさんと実際に対局してみると、Tさんは終始一貫して多く返すことのみに専念し(上記少なく返すべきの教えの逆)、多く返すためにはXやCの場所にもどんどん打ってきます。 そこで基本図のコピーを1枚渡し、少なく返した方がよいことを伝授。しばらくしてTさんよりtel「嫁が断然強くて歯が立ちませんが、お陰様で孫とは対等に打てるようになりました。


2.オセロとバイオリン

 外国で、外国製のオセロを買うと、“KING OF GAMES(ゲームの王様)”と書いてありますし、“A minute to learn ,a lifetime to master(覚えるのは1分、マスターするには一生)”とも書かれています。これがオセロに対する世界の標語となっています。
 オセロとバイオリンは、よく対比されます。バイオリンは小型ながら楽器の王様といわれ、誰からも愛され、誰でも気軽に弾くことができますが、人々はこの小型の楽器に秘められた無限の奥深さを知っています。名手によって奏でられるバイオリンの絶妙な音色は、聴く者を魅了します。
 オセロは2人で対局しますが、名手2人が最高の舞台で心血を注いで打った棋譜を順を追って並べてみると、石を通して両対局者の息吹(いぶき)が時を越えて伝わってきます。千変万化するオセロの実戦は無限の奥深さを秘め、1手打つごとにガラリと一変する局面は、さながらアラジンの魔法のランプの「一夜明ければ王様、一夜明ければ乞食」というアラビアンナイトの世界の実現です。
 オセロの実戦には絶対の手は存在しません。「オセロとは、隅(☆)をとりさえすれば勝てるゲームなり。」と単純に考えている人は家庭内オセロのレベルの話で“隅(☆)を取って負けた。隅(☆)を取った1手でタイトルを獲得しそこなった。”等の実戦例は枚挙にいとまがありません。4隅(☆)を取って負けた例もざらです。

注2 基本図は「☆をつねにねら狙え」と教えていますが“☆をつねに取れ”とはいっていない点に注意。


3.永遠の謎・“モナリザの微笑”と“オセロのX打ち”

 フランスのルーブル美術館に入ると厳重な防弾ガラス越しに世界の国宝、レオナルド・ダ・ビンチ作「モナ・リザ」を見ることができます。モデルは、美しい貴族夫人・リザで、モナ・リザとは“私の可愛いいリザ”という意味です。モナ・リザはわずかに微笑んでいます。“モナ・リザの微笑”の意味について、あれこれ詮索(せんさく)すること500年、永遠の謎とされたまま21世紀になりました。Xの場所は☆に斜めに隣接されているので、辺だけで隣接しているCとは比べ物にならない位その危険度(相手に☆を取られてしまう確率)は大です。

 X打ちは、その内容からみて次の4つに分類されます。
(1).無謀のX打ち(代償なしに、無条件で相手に☆を占拠される)
(2).しぶしぶのX打ち(打ちたくないけどそこしかない)
(3).勝負手のX打ち(中終盤の華)
(4).ブラボーのX打ち(高らかに勝利宣言!)

注3 具体例・・・(1)基本図を知る前のTさんのX打ち(前述)。(2)辻嘉一郎五段の相手の打ったX打ち(前掲)、(3)篠崎幸子五段が打ったX打ち(前掲)。(4)は後掲。



 X打ちは、オセロの中終盤を緊迫感の中に盛り立たせる立役者であり、「虎穴(こけつ)に入らずんば虎児(こじ)を得ず」の境地で打たれた勝負手のX打ちの瞬間。局面はクライマックスに達します。X打ちがあるからオセロは一層楽しくなります。但し、千変万化するオセロの実戦で最高の舞台で(相手も名手)、制限時間の下で、理想の局面を創り出し、そこにタイミングよいX打ちを実現させることは至難の技であり、“X打ちの謎”は深まるばかりです。(格言“X打ちを制する者は世界を制す”)


4.名人戦(春)、全日本選手権(夏)、世界選手権大会(秋)

 上記は、伝統と権威を誇るオセロの三大大会で、毎年全国規模、世界規模で盛大に開催されてます。名人戦は五部門(無差別、女子、マスター(40才以上)、中学生、小学生)、全日本は六部門(本年よりフレッシャー部門は青年の部に名称変更・39才以下)がプラスされる。世界大会には部門がありません(要するにThe strongestは誰か)。現在の覇者は、名人・北島秀樹氏(第23代)、全日本チャンピオン・駒野達也氏(第30代)、世界チャンピオン・D.シェイマン氏(第26代・オランダ)です。
 オセロにはプロはいませんから、世界選手権大会に出場する各国選手の職業は千差万別ですが、最近特に目立ってきたのが数学者の活躍です。数学とは、未知数(謎)をxと置いてxは何かを求める学問ですが、“5+x=10、xは何か”という簡単なものから超難解のもの迄あります。フランスの大数学者フェルマは「この定理は証明したのだが、紙に書きとめる時間がなかった。」と言い残して1665年に没しましたが、以後、「フェルマの定理の証明」は全世界の数学者の研究テーマとなり、何と330年以上経って、終に最近証明されたのです(2007年迄に証明できた者には10万マルクの賞金が与えられることになっていました)。
 第26回世界オセロ選手権大会は、オランダの首都アムステルダムで52名の選手が参加して、2002.11.6〜9の4日間にわたり開催。初日は全員の顔合せと前夜祭、11/7.8で予選リーグを1人13局ずつ打ってその上位4人のみが最終日準決勝、決勝3番勝負を打つ規定。日本代表3選手は惜しくも予選リーグ敗退(北島氏5位、駒野氏8位、全日本女子チャンピオン木下央子さんは21位)そして、ベスト4入りした中の3人は数学者でした。 D.シェイマン氏(優勝3度目)、I.リーダー氏(イギリス.2位)、柏原拓司氏(フランス代表.パリ在、ヨーロッパオセログランプリ2002年度優勝、京大数学科卒、4位)。その他にも、数学者の名オセラーは沢山います。C.ヤコブ氏(アメリカ.世界2位)、滝沢信行第4世名人(世界4位)、M.タステ氏(フランス・第16代世界チャンピオン)、G.ブライトウェル氏(イギリス・世界2位)等、いずれ本欄で紹介予定の名選手です。

注4 ヨーロッパオセログランプリ(パリ国際オープン)は、外国では世界大会に次ぐ権威あるオセロ大会であり、ケンブリッジ、コペンハーゲン、ローマ、ブリュッセル国際オープンのトリの位置にあり、第1回大会優勝者P.ラル氏(フランス)がその2カ月後世界チャンピオンになって俄然注目をあびて以来、現在迄19人のチャンピオンが生れてます。
 そしてその殆どがその後世界大会優勝又は準優勝の経験者(シェイマン、リーダー、ブライトウェル、村上健、中島哲也、末國誠氏・・・)になり、最低限世界4強入りという驚異的実績です。



 今回、世界オセロ選手権大会の予選という檜舞台で、現役の名人、全日本チャンピオン対ヨーロッパグランプリ選手権者・柏原氏の組合せは3度実現したが、結果は3度共日本側が惜敗。4強入りを賭けた北島―柏原戦は村上健九段の解説でオセロニュース77号に掲載されます。
 オセロ大観I、II(近代文芸社刊)は、チャンピオン(世界、全日本、名人)の頭脳のエキスを集め、それを体系づけた本格的なオセロの研究書で付随棋譜も多く、「全部並べれば2年位かかるでしょう」と或る高段者に評された大作ですが、辞典的に部分読みするには最適の本です。日本語で書かれているので外国選手は読めませんから、これは日本選手だけの研究書です。柏原拓司氏が「オセロ大観I、IIは全部読み、全部並べました・・・」と何げなくさらりといったのには驚かされましたが、緻密で明晰(めいせき)な頭脳を持ち、日夜根気よくX(打ち?)の研究を続ける数学者にとって、この程度のことは日常茶飯事だったのです。数学者の凄さ!
 ヨーロッパオセログランプリ優勝2回、世界オセロ選手権大会決勝3番勝負に登場すること3回のG.ブライトウェル氏(名門ケンブリッジ大学数学科教授)とその対戦者、同様にヨーロッパオセログランプリ優勝2回、世界オセロ選手権大会決勝3番勝負に登場すること何と6回(新記録)、そしてその半分の3回を物にした(世界一になった)D.シェイマン氏とその対戦者をめぐるドラマ等は順次そのうち出てきます。
 連載第1回は、現在日本最強の2人のオセラー、名人・北島秀樹七段と全日本チャンピオン・駒野達也七段を実戦譜を通して紹介します。バイオリンは名手と名器(ストラディバリウス等)が一体となって素晴らしい演奏になりますが、オセロも双方共に名手でその背景も最高の時の迫力は見る者を感動させます。


5.駒野達也の“ブラボーのX打ち”

(1図)黒番
(2図)ブラボーのX打ち!
(3図)黒60 〜 4白
 1図は、第30回全日本オセロ選手権大会無差別の部決勝1番勝負の40手迄の局面で、今度は黒番です。黒・四段・駒野達也〜白・八段・滝沢雅樹(2002.7.28日 於代々木オリンピックセンター)。既に黒絶対優勢の局面ですが、ここで駒野四段は決定打"ブラボーのX打ち黒41を放ち、勝利を不動のものとしました(2図)。全日本、世界を2度ずつ制した輝かしい実績を持つ巨豪・滝沢第九世名人に見事な1本勝ち、初めて日本一になった17才の新鋭駒野四段は、規定によって三段飛びして七段に昇段、秋の第26回世界オセロ選手権大会に日本代表として出場することになったのです。


全日本チャンピオンくう
6.駒野達也の“勝負手のX打ち”は空を切る

(4図)黒の次の1手は?実戦
(5図)勝負のX打ち(悪手)
(6図)天王山を打って白勝勢
 4図は、第26回世界オセロ選手権大会予選リーグ10試合目、黒・駒野達也対白・D.シェイマン(オランダ)戦の46手迄の局面で今度は黒番です(2002.11.8金、於オランダ・アムステルダム)。52人中48人が予選落ちするという厳しい予選試合13局の10局目、ベスト4に入って明日の準決勝3番勝負に出場する権利を得るためにも、ここで勝つか負けるかは両者共天地の差。二転三転の熱戦の末、4図では黒やや優勢の局面になっています。
(参考1図)とに角、天王山に打つ
(参考2図)Cは天王山!
 世界戦は全日本の1.5倍の持時間ですから、日本選手が時間に追われることはまずないでしょう。4図を眺めるとすぐ気がつくのは下辺Bが天王山になっていることです。“天王山は絶対打て、絶対打たすな(オセロ格言)”といいますから、もし時間があまり残っていなかった場合は、とに角と天王山に打って(次善手)、様子を見るのも一法です(参考1図)。は必然ですが(参考2図)、ここで上辺Cが天王山ですから、ノータイムで黒Cと打って、白からの動きを催促すれば、微細ながら黒優勢です。(2石リード)。
(正解1図)白に天王山を打たせず!
(正解2図)必然の手
(正解3図)捨て身の妙手!
実戦では時間もあったのですから、4図で腰をすえて読み、“天王山(B)は絶対相手(白)に打たすな”の手(正解1図)を打てば、(正解2図)は必然の進行で、そこで打つ(正解3図)が捨身の妙手(上辺の黒の爆弾を自爆させながら白に☆打ちを許すが、白☆なら黒C)でこれで黒4石リードです。
 しかし、実戦では、駒野七段は、天王山理論の最善手(正解1図)、次善手(参考図)を採用せず、“勝負手のX打ち黒47”を敢行したのです。黒の意図は、5図から、以下白☆、黒C,白C1、黒C2、白☆1、黒C3と打って白に手を渡せば黒悪くない(実際その通り進行すれば引分けの形勢)ということでしたが、百戦錬磨のシェイマン氏はそんな黒の注文(☆を取りなさい)に乗らず、悠然と打った下辺の天王山白48!
 6図では、左上黒X打ちは完全に形骸化し、一方下辺白2列は磐石の構え。黒の敗勢はもはや決定的です。たった2手の間に起こった天国と地獄!それがオセロの厳しさです。黒47は、正解1図に比べて何と13石損の大悪手だったのです。
黒 駒野達也 27.5石
白 David Shaman 36.5石

クレオパトラの鼻がもし一寸低かったなら、世界の歴史は変わっていたでああろうといわれていますが、もし駒野七段が黒47をX打ちしなかったなら(その可能性は充分あった!)、オセロの歴史も変わっていたでしょう。
『とういのは、黒47を正解図1に打っていたら多分黒が勝っていた。シェイマンは8勝4敗1引分で予選落ち、代わって北島秀樹(9勝4敗)が3位で当選、4位をめぐるプレーオフは9勝4敗同率の柏原〜駒野で戦い駒野が勝つ。3位北島、4位駒野、規定により準決勝では3位と4位は当らない。準決勝からは1局40分ずつの持ち時間(全日本の倍)でしかも3番勝負、実力者北島にとって最高の条件、Shamanはいない。日本人同士による決勝3番勝負の実現(史上初)』は一瞬のアムステルダムの秋の夢。
 現実の世界では、クレオパトラは絶世の美人でした(鼻は低くなかった)し、その美貌が原因で起こった戦争のために、多くの人が戦死しました。
 現実の世界では、痛恨のX打ち黒47がそこにありました。それが第26代世界オセロチャンピオン・D.シェイマン氏誕生に直接間接に関与している因果関係を否定することはできません。オセロのX打ちの謎は深まって行くばかりです。


7.日本オセロ連盟はオセロファンのためにある

 今年の年賀状に「オセロは九才の孫にもう勝つことが出来ません。孫の成長を喜ぶべきか私の老化を嘆くべきか考えてしまいます」(新潟市S.N子さん、70才)というのがありましたが、家庭内でオセロが楽しまれている様子が手に取るように解るほほえましい風景です。
 日本オセロ連盟は、全国を八ブロックに分け、各ブロック長、支部長の指導の下にオセロファンのために種々の行事を行っています。東京都を例に取れば、2003年のオセロ大会は37回、指導練習会(木曜会)が48回、その他となっております。新潟支部長の滝沢雅樹氏(八段・第9,18代世界チャンピオン)は小学校の先生ですから、上記Sさんも親子3代で1度指導対局して貰ったら面白いと思います。

大会開始前に行われた選手宣誓。
選手代表は91才の前島なみさんと8才の中野護君。全国名人戦ならではの光景です。
 月日はどんどん流れて行きます。未来も現在になりそして全ては過去(の歴史)になります。北島秀樹氏が93名参加の無差別の部で8勝全勝で優勝した第23期オセロ名人戦(無差別、女子、マスター、中学生、小学生の五部門で開催、2002.3.3)も既に昨年の歴史の1ページとなり、次(第24期、2003.3.22)が間もなくやってきます。
 老若男女全てから愛されるオセロです。第23期オセロ名人戦で選手代表として選手宣誓をしたのは前島なみさん(91才)と中野護君(8才)でした。小学生部門は全員14局打ち、全員に同じ素敵な参加賞(1,2,3位は3,2,初段の免状)で4時前に終了。優勝(連覇)の石井宏和君(小5)は、品川区教育委員会からも表彰。無差別の部は別の部屋で行われ6時半終了。


8.世界大会で戦ったD.シェイマン対北島秀樹

(7図)白番

 7図は、第26回世界オセロ選手権大会予選リーグ4試合目、黒・D.シェイマン対白・北島秀樹戦の29手迄の局面で今度は白番です。(2002.11.7(木)於オランダ・アムステルダム)。
 7図は白の次の1手(最善手は何か)を問うているのではありません。茫漠(ぼうばく)として手広いオセロの中盤の局面で、最善の1手を発見することは極めて難しい問題であり、それはむしろ勘の世界です。

7図で北島秀樹はこう考えた。
「偶数理論(奇数空きは先着せよ)に従って白Xと打てば、以下黒☆、白C(天王山)で白Bが白の余裕手(1個の余裕手は1個の☆打ちに勝るというのが格言)になり、しかも手番は黒に廻る。下方2列は白の理想形になるが、これでは話がうますぎる(読み1図)。シェイマンが無抵抗でズルズルと土俵を割る筈がない。
(読み1図)黒番。下方2列は白理想形だが…
(読み2図)が伝家の宝刀!。白アウト!
 何かある筈だ。えーと、やっぱりあった。ここでとB1に打つのが伝家の宝刀で(読み2図)、C1が黒の余裕手になり、手番は白に廻るからこの図は白アウト!。
 では伝家の宝刀を出すひまを与えない強烈な攻めはないのか?うーん、うーん、あったぞ!先に白からB1に打ってしまえばいいんだ。まず、7図からその前段階白30を打つ(8図)。黒31は必然(9図)。そこで狙いの白32をB1に打てば(10図)、黒33は絶対。これだけの準備工作をした上で、待望の右下へのX打ちを敢行すればどうだ(12図)!うんこれはいけるぞ。」


秀樹の“勝負手のX打ち”はシェイマンの意表を突く!
(8図)ます準備工作 実戦
(9図)必然の応手
(10図)狙いのB1打ち
(11図)絶対の応手
(12図)勝負手のX打ち!

 7図以降の実戦の経過が8〜12図で北島名人の読み通りの進行となりました。充分に時間をかけて練り上げた末の実行・X打ちは黒の意表を突いたのです。
(参考図)黒番。黒困った!
 12図でシェイマン氏長考。まず目につくのは黒☆ですが、と天王山に打たれて(参考図)、これは白の構想通りの展開ですから、黒駄目でしょう。



(参考図)と(読み2図)は、似た形をしていますが、内容は月とスッポンです。読み2図ではお互いに余裕手(C1とB)を持ち、手番は白(黒よし)。参考図では白だけが余裕手Bを持ち手番は黒(黒悪し)です。オセロでは、どちらの手番かが勝敗に直結する重要な要素の1つです。



 12図で、次に考えられるのは、黒ア、イ、ウ、エ等ですが、さっと読んでみると、どの変化もいまいちでピンと来るものがありません。対局時計の数字は秒単位で目まぐるしく変わって行きます。流石のシェイマン氏にも焦りが生じたのか、ここで打った黒35が疑問手で、ここから一気に流れは白に変わりました。
黒 David Shaman 23石
白 北島 秀樹 41石

第26回世界オセロ選手権大会
予選リーグ第4試合目2002.11.7
於アムステルダム・オランダ

 北島秀樹名人の構想豊かな土台の上から繰り出された強烈なパンチ"勝負手のX打ちが印象に残った1局で、これが北島オセロの神髄です。
 本譜でも解る通り、北島氏は非常に才能豊かな人で幅広い趣味で人生をエンジョイしてます。ルービックキューブ全日本チャンピオン、88オセロ名人(☆が8つある88マスの大型オセロ)の実績、そして現在はオセロ名人、ソクラテス名人(囲碁、将棋、チェス、オセロに次ぐ第5のゲームとして登場した新ゲーム)の二冠王です。

(2003.1.1 長谷川五郎記)



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