~ “世紀の対戦” オセロの世界へのビッグバン ~

この勝負を語らずにオセロの歴史について語ることはできない、というのが、
・藤田二三夫氏(第4回オセロ全日本チャンピオン 理髪業 当時27才)
・トニー・マイルズ氏(全英チェスチャンピオン/グランドマスター 当時20才)
の“世紀の対戦”である。

両雄による世紀の対戦は、第1回全日本オセロ選手権から3年後の1976年10月20日にイギリスのロンドンで行われました。1973年に発売されたゲーム「オセロ」の日本でのブームは、海外にも徐々に伝わり始めていた頃でした。
このゲームの面白さに目を付けたのが英国のTV放送局BBC。何と日本チャンピオンと全英のチェスチャンピオンによる“オセロ対決”の放送を企画したのです。
対戦の選手が前述の通りに決まった後、全英チェスチャンピオンのトニー・マイルズ氏は、この企画に2ヵ月の準備期間を要求。日本側は即座にOKしました。
マイルズ氏が2ヵ月間オセロの研究に没頭する中、理髪業の藤田氏は毎日10人位の客の整髪をこなし2ヵ月で600人の整髪、両者の実力は急接近。文字通りの真剣勝負になった。
対局は3番勝負で第1局目は、マイルズが勝利。そして2局目は藤田の勝利。両者1勝1敗となった第3局は大熱戦の末、中盤やや有利に思われたマイルズ(先手・白)を藤田が下し全日本チャンピオンの勝ちとなりました。
その結果はBBCで世界に放送され、藤田氏はその足でアメリカに渡り、各地でオセロのエキシビジョン対決を行い連戦連勝で帰国。アメリカでもブームを巻き起こしました。米紙「タイムス」は「チェス以上のゲーム、オセロ」と大々的に報じ、結果、日本発のオセロは一躍世界のオセロになりました。
このブームにより、翌年から世界オセロ選手権大会が各国持ち回りで毎年開催されるようになり、今年(2015年)には第39回目の世界大会は英国ケンブリッジで開催され、来年(2016年)11月には日本の水戸市で開催される予定になっています。

この“世紀の対戦”はまさにオセロの世界へのビッグバンと言えるでしょう。

 

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左:静岡市にある理髪店主・藤田二三夫(第4代全日本オセロチャンピオン)
右:日本オセロ連盟理事・鈴木敏彦(静岡県本部長)当時

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世紀のオセロ3番勝負開始前の握手(1976年10月26日、於:ロンドン)
左:藤田二三夫(全日本オセロチャンピオン)
右:トニー・マイルズ(全英チェスチャンピオン)

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イギリス、アメリカで大活躍して凱旋した藤田チャンピオン有難う!
左から鈴木敏彦理事、藤田氏、佃光雄社長、筆者、佃夫人

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米紙「タイム 1976.11.22号」の表紙    本文

 

                                                                                                 サイン

長谷川五郎プロフィール
1932年 水戸市生まれ。オセロの考案者。
現日本オセロ連盟会長。囲碁・将棋五段、チェスも得意。
2015年3月より第40回世界大会(2016年)に向け
「オセロを創った男~五郎のオセロちょっといい話」の寄稿を開始。