伏せ石

1. 先手(黒)・後手(白)の決定は、試合前の伏せ石により行う。伏せ石は、対局者のうち、段級位の上位者(同位または不明の場合は年長者)が石を1個盤上に水平に置いて隠した上で、 相手が次の甲乙いずれかの方式により宣言を行った後に、石を開示し判定することにより行い、(いずれの方式を採るかについては、大会・部門ごとに定める。)結果を対戦カードに記入する。

甲(引き分けなし方式)
「上が黒」または「上が白」と宣言する。正しく言い当てた場合には、次のいずれかを選択できる。

当たらなかった場合には、伏せ石を行った者が①または②の選択権を得る。

  
乙(引き分けあり方式)
「上」または「下」と宣言し、その面の色を持つ。

競技時間・対局時計・着手

2. 原則としてすべての対局に対局時計を使用する。持ち時間については、大会・部門ごとに定める。

3. 対局時計の位置は、対局者相互の中間、対局盤の左右どちらかの側近とし、黒を持つ選手が左右どちらに置くかを選択できる。

4. 対局は、時計が静止した状態から、白の選手が自分のボタンを押すことにより開始となる。

5. 自分が着手権を持つ時間帯をその対局者の「手番」という。手番中は常に自分の時計を作動させておかなければならない。また、手番中、対局者は次の4つの行動をこの順序に従ってのみ取ることができる。

6.1回の着手において、石を打ち、挟んだ石を返して時計のボタンを押す一連の動作は、片手で行うものとする。(ただし、身体にハンディキャップのある対局者についてはこの限りでない。)
   

7. 相手の手番中は、盤面に触れたり、盤面や時計を覆ったりして相手のこれらに対する視認を妨げてはならない。

8. 対局者は、着手を完了するたびに、自分の時計のボタンを押さなければならない。ただし、次の相手番がパスになる場合は、対局者双方の合意に基づき、互いにボタンを押すことを省略してもよい。

9. 最終手を打ち終わった対局者は、時計を停止し(デジタル時計の場合は中断ボタンを押す)、最終手に不正がないかどうか、また、自分の持ち時間が残っているかどうかを相手に確認させなければならない。このときも、不正着手の指摘は第5項①と同様の方式による。なお、仮にこのとき相手(最終手を打った側でない方の対局者)の時計に時間切れが認められても、その指摘はもはや無効である。

10. 対局中のトラブルにより審判員を呼ぶ際は、時計を一旦停止状態にする(デジタル時計の場合は中断ボタンを押す)こと。

遅刻者の取り扱い

11. 所定の対局時刻になっても対局者が現れない場合、先着者は後に選択する石の色に係わらず、時計の位置を選択し、審判の指示により自分の時計のボタンを押し、遅刻者の持ち時間を減らすものとする。

12. 遅刻者が到着したときは中断ボタンを押し、残り時間を持ち時間として対局する。ただし、遅刻者は残り時間の多少にかかわらず、不戦敗を選択できるものとし、この場合先着者は、不戦勝として取り扱うもとする。

勝敗と石差の記録

13. 対戦カードの勝敗欄は、勝ちを○、負けを×引き分けを△で記録する。空きマスが無い場合、石差の欄には、自分の石 数から相手の石数を差し引いた値を記録する。(勝った場合はプラス、負けた場合はマイナスの数値となる。)また、石数表記の場合については、自分の獲得した石数を記録する。記録用紙は、試合終了ごとに対局者が個々に記入した後、勝者が対局者分をまとめて記録席へ持参する。この際、勝者は、双方の記入内容を確認する義務を負い、万一勝敗の記入が逆になっていたことが提出後になって発覚しても、訂正は原則として認められない。引分の場合、記録用紙は両者そろって記録席に持参する。但し、両者合意のもとどちらか一方の対局者が記録紙の提出をしても良いものとする。

14. 終局(対局者双方が石を置けなくなった状態)時に盤面に空きマスが発生した場合、その空きマスは勝者の獲得石に加算される。

15. 一方の対局者が終局前に時間切れとなり、もう一方の対局者の時間が残っていることが確認された場合は、時間切れしていない方の対局者の勝ちが決定する。時間切れは、相手の指摘または自己申告によって成立し、対局者以外の者はこれを指摘することができない。(ただし、双方が時間切れしている場合についてはこの限りでない。次項参照。)また、終局後であっても、最終手を打った側の対局者の時間切れに関しては、対局者双方が結果を確認し合意する前であれば、指摘または申告を行うことができる。なお、石差・石数を記録する必要がある場合は、勝者が以下の2者よりいずれか一方を選択する。

16. 対局者双方が気付かぬうちに双方が時間切れしていた場合は、対局者または審判の指摘により試合は終了し、結果は、双方2石負けとする。なお、トーナメントの場合は、引き分け勝ちの権利者が次の試合に進むものとする。

17. 終局前に対局者の一方が負けたことを宣言して、勝負が終わることを投了と言う。投了された試合、対局者の一方が退場を命じられた試合等において、石差・石数を確定する必要がある場合は、時間切れのとき(第15項参照)と同じ方式を用いる。反則負けの場合もこれに準ずる。

18. 石差・石数を確定する必要がある場合、不戦勝は16石差勝ち(40-24)、不戦敗は64石差(64-0)負けとして扱う。ただし、不戦敗の場合でその理由が交通機関の遅延等やむを得ないものと審判が認めた場合は、その状況により審判員の指示に従うものとする。

障害者特別ルール

19. 身体にハンディキャップのある選手のために本ルールの例外を設けることがある。
  その際、競技場所、補助者の容認などは審判員の指示に従うものとする。

審判員の権限と責務

20. 審判員は本ルールに規定なき事態の処置の決定権を持つ。また、選手から裁量を求められたときの決定権を持つ。

21. 審判員は前項の処理に当たっては、当事者間及び他の参加者との間に、著しい不均衡を生じさせないとともに、大会全体の進行にも配慮しなければならない。

22. 審判員は、不正を行った対局者に反則負けを宣告し、また、円滑で公正な大会運営を妨げる人物に警告を与え、退場を命じることができる。

その他禁止事項およびマナー等

23. 選手・見学者を問わず、対局中の選手に対する助言は禁止する。

24. 石の片付けは、記録が終了してから行うこと。

25. 選手は円滑な競技の運営に協力し、試合終了後はすみやかに記録用紙を提出すること。

26. 選手は、自分以外の特定の選手の上位進出を手伝う、あるいは阻む目的で、故意に負けたり、相手に石数を稼がせたりする行為は慎むこと。

27. 時計の不備に気付いた場合は直ちに審判員に申告するものとし、故意に無視してはならない。時計の修正・変更は審判員の判定に従うものとする。

28. 大会中、会場内ではスマートフォン・携帯電話・PHSはマナーモードに設定するか電源を切っておくこと。

29. 試合中の写真、ビデオ等の撮影に当たっては、事前に審判員及び当事者の了解を得ること。また、フラッシュ、ストロボ等を発光させないこと。

この競技ルールを運用するにあたって

 マナーとして守るべきことを明文化すると、その瞬間からマナーでは無くなってしまう、という事は良くあります。「ルールに書かれていないから」との理由で諸問題が起きる事も有り、ルールはますます細分化されていくことになってしまう場合があります。ルールの前にあったはずのマナーや精神と言う物は影も形も無くなってしまいます。

 当競技ルールにおいて、あらかじめ将来起きる全ての問題について、個々の解決法を具体的に示すことはできません。この競技ルールの条項に規則だてられない事は、類似した状況から無理の無い類推、もしくは慣習によって妥当な解決に到達するように、選手・審判が協力し合いながらの運用をお願いいたします。