2009新潟ブロック大会
2009/06/14 新潟市万代市民会館
スイス式トーナメント6回戦 持ち時間各20分秒ヨミなし 引分無し



 1. 朝比奈 諭   朝比  ○+51 ○+41 ×- 8 ○+35 ○+ 8 ○+ 6  5勝 1敗 0分 無差別の部代表
    新潟        二段  渡伸  松沢  梅沢  小俊  佐々  神田          +133
 2. 梅沢 佳紀   梅沢  ○+26 ○+55 ○+ 8 ×-12 ○+10 ○+38  5勝 1敗 0分 無差別の部代表
    新潟        四段  針井  佐優  朝比  佐々  神田  小俊          +125
 3. 佐々木 禎行 佐々  ○+10 ○+12 ○+24 ○+12 ×- 8 ○+18  5勝 1敗 0分 フリークラスの部代表辞退
    新潟        三段  神田  岩坂  小俊  梅沢  朝比  松沢           +68
 4. 針井 光     針井  ×-26 ○+61 ×- 6 ○+38 ○+12 ○+52  4勝 2敗 0分 フリークラスの部代表
    新潟        初段  梅沢  大桃  神田  渡光  松沢  高井          +131
 5. 堀内 恵子   堀内  ×- 2 ×-44 ○+28 ○  0 ○+32 ○+ 2  4勝 2敗 0分 女子の部代表
    東京        五段  岩坂  神田  樋口  高井  佐剛  渡伸           +16
 6. 神田 吉浩   神田  ×-10 ○+44 ○+ 6 ○+46 ×-10 ×- 6  3勝 3敗 0分
    新潟        三段  佐々  堀内  針井  佐剛  梅沢  朝比           +70
 7. 松沢 隆   松沢  ○+46 ×-41 ○+20 ○+44 ×-12 ×-18  3勝 3敗 0分
    新潟        二段  佐剛  朝比  渡光  岩坂  針井  佐々           +39
 8. 岩坂 龍次   岩坂  ○+ 2 ×-12 ○+38 ×-44 ×- 8 ○+28  3勝 3敗 0分
    新潟        初段  堀内  佐々  高井  松沢  小俊  佐剛           + 4
 9. 小林 俊次郎 小俊  ○+46 ○+28 ×-24 ×-35 ○+ 8 ×-38  3勝 3敗 0分
    新潟        初段  高井  渡光  佐々  朝比  岩坂  梅沢           -15
10. 佐藤 優衣  佐優  ○+36 ×-55 ×-17 ×-22 ○+16 ○+14  3勝 3敗 0分 1級取得
    新潟              大桃  梅沢  佐剛  渡伸  渡光  樋口           -28
11. 渡辺  伸   渡伸  ×-51 ×-34 ○+ 2 ○+22 ○+ 2 ×- 2  3勝 3敗 0分
    新潟              朝比  高井  大桃  佐優  樋口  堀内           -61
12. 渡辺 光     渡光  ○+44 ×-28 ×-20 ×-38 ×-16 ○+22  2勝 4敗 0分 2級取得
    新潟              樋口  小俊  松沢  針井  佐優  大桃           -36
13. 高井 恒浩   高井  ×-46 ○+34 ×-38 ×  0 ○+42 ×-52  2勝 4敗 0分
    新潟        初段  小俊  渡伸  岩坂  堀内  大桃  針井           -60
14. 佐藤 剛     佐剛  ×-46 ○+ 1 ○+17 ×-46 ×-32 ×-28  2勝 4敗 0分
    新潟              松沢  樋口  佐優  神田  堀内  岩坂          -134
15. 樋口 博臣   樋口  ×-44 ×- 1 ×-28 ○+32 ×- 2 ×-14  1勝 5敗 0分 3級取得
    新潟              渡光  佐剛  堀内  大桃  渡伸  佐優           -57
16. 大桃 颯     大桃  ×-36 ×-61 ×- 2 ×-32 ×-42 ×-22  0勝 6敗 0分
    新潟              佐優  針井  渡伸  樋口  高井  渡光          -195

※ この結果表は中島哲也氏作の SLIM を用いて作成しました。
         http://www.othello.org/~nakaji/napp/




優勝した朝比奈二段のコメント

新潟に移籍して1年2ヶ月、新潟での初優勝がブロック予選ということで本当に嬉しかったです。
最終戦まで通過がわからない展開で最後までいい緊張感で試合にのぞめました。
初めての全日本選手権ですが最大限、自分の力を発揮したいと思います。
運営・対戦していただいた皆様、ありがとうございました。



石差が足りな・・・byウメ 





          2009新潟ブロック大会 観戦記  
                                 王座 滝沢雅樹

 先の名人戦で為則九段を破るなどの活躍をし、四段に昇段した小林四段が、今大会の本
命かと思われたが、よもやの欠場。参加人数が奇数の為、新潟ブロック影の実力者佐々木
三段が、やむなく(?)参加することになった。佐々木三段は、今日の大会結果にかかわら
ず、全日本参加が実は決まっているのだが、どのような形の参加になるのだろうか。

 1回戦の対戦は、チェスクロックのビンゴ機能を使って行った。佐々木三段は神田三段
との対戦を一発で引き当てた。打倒佐々木三段に闘志を燃やす神田三段、「ありがとうご
ざいます!」と気合の声! しかし、対戦では佐々木三段の巧みな打ち回しに逆偶数に仕
留められた。
 1回戦では、小学生の渡辺君と樋口さんの対戦もあった。渡辺君は、昨日の小学生大会
で惜しくも優勝を逃し、4級の免状を取り損ねていた。それで今日は免状取りに来たのだ。
新潟練習会にも4月から顔を見せるようになった渡辺君。そのライバルが、同じく4月か
らオセロを始めた樋口さんなのである。練習会では樋口さんがやや勝率がよかったのだが、
今日は堂々とした打ち回しで圧勝することができた。

2回戦を終えて、全勝は梅沢四段、佐々木三段、朝比奈二段、小林初段の四人となった。こ
のあと昼食休憩。

3回戦
4月から新潟で仕事をすることになった支部大会初登場の小林初段は、佐々木三段と対戦。
佐々木三段が得意の裏ヨットに持ち込むと、中盤の辺の攻防で優勢を広げる。終盤の対角
線の攻防もうまくまとめ、佐々木三段が3連勝一番乗りを果たした。
もう一方の朝比奈-梅沢戦は、序盤からお互いの意表をつく手の応酬が続き、お互いにじ
っくりと時間を使う試合運びとなった。中盤までで梅沢四段が優勢を築くものの、朝比奈
二段も筋消しの形に持っていき、なかなか決め手を与えない。終盤は白優勢ながらも両者
とも1分にも満たない残り時間での斬り合いになった。最後は白の理もあって、梅沢四段
が、慌てることなく試合をまとめた。

4回戦
 石差の関係で、3回戦の全勝対決の組み合わせを入れ替えた形になった2局。この2局
が代表争いを大きく左右しそうである。
 1敗ながら石数を大きく伸ばしている小林-朝比奈の対戦。勝った方は代表権に大きく
前進する。小林初段は21まで軽快に打ち回す。ここまでは研究範囲だろうか。白の朝比奈
二段は本局も苦しい中盤戦になると思われた。が、小林初段長考後の31が痛恨の悪手とな
り、あとは白が危なげなく勝利を築いた。朝比奈二段は、勝利を確信してからもたっぷり
と時間を使い、石差を最大限に伸ばした。
 最後の全勝対決は、新潟の古株同士の対戦となった。泰然自若とした様子の佐々木三段
は、淡々と手を進める。対する梅沢四段は分岐となる局面で、石を強く叩きつけるように
打ち、気合を注入する。その気合をかわすように、佐々木三段は軽い手さばきで石を返し
ていく。徐々に黒が中に固まり、白の梅沢四段の表情も硬くなっていった。
34~38と形勢挽回の好手順を見つけ反撃する白であるが、このとき既に時間は1分を切っ
ていた。終盤は白に勝ち筋があったようであるが、1分未満の残り時間では、梅沢四段と
いえどもそう簡単に最善を見つけることはできない。それに対し、佐々木三段は6分以上
時間を残している。佐々木三段は慌てずに白のほころびを見つけ、最後は危なげなくまと
めた。

 この時点で4戦全勝は佐々木三段、以下1敗で朝比奈二段、梅沢四段、神田三段、松沢
二段と続いた。1敗の四人は、全て佐々木三段より石差を上回っている。佐々木三段は単
独トップに立ちながらも、あと1勝しても代表権を手にするとは限らないのである。

5回戦
 5回戦のハイライトは、全勝佐々木三段と1敗トップの朝比奈二段の対決。朝比奈二段
は自力でトップに躍り出る可能性もあるので、気合の入れ方も違う。この日用意したペッ
トボトルのミネラルウオーターの2本目も残りが少なくなってきた(2本目は1ℓ入りの
ものだった)。
 またしても黒番の佐々木三段、得意の佐々木スペシャル「裏ヨット」に持ち込む。朝比
奈二段が序盤をうまく進めたかに見えたが、佐々木三段は巧みに朝比奈二段の余裕手を放
出させ、徐々に形をまとめていく。30手目以降の辺の攻防では佐々木三段がリードしたか
にも見えた。しかし、朝比奈二段も黒に決め手を与えない。対角線の攻防が勝負を分ける
終盤戦に突入した。
 44までで黒残り10分、白残り5分。
 45で黒が勝負に出た。下辺をただで与える代わりにホワイトラインを通し切ろうとする
強手である。その後、佐々木三段は3分考えて47を放ったが、これは局面を分かりやすく
する敗着。ただし、局後に調べたところ、終盤黒に勝ち目はなく、敗着は38手目にまでさ
かのぼらなければならなかったようだ。50が白の勝利を確定させる好手となり勝負は決し
た。朝比奈二段がこの50を打つ直前、残り時間が1分を割ったが、既にこの局面では、1
分は朝比奈二段にとって慌てるような短い時間ではなかった。

 かくして朝比奈二段がついにトップに躍り出た。佐々木三段は、全勝の単独トップから
3位に後退しただけでなく、2位梅沢四段とは30石差以上も差がついてしまった。佐々木
三段の自力2位以内(無差別代表)の可能性は極めて低くなった。とはいえ無差別の代表
権は、まだ誰も確定させていない。

5回戦終了時の成績
朝比奈二段 4勝1敗 +127
梅沢 四段 4勝1敗 + 87
佐々木三段 4勝1敗 + 50
針井 初段 3勝2敗 + 79
神田 三段 3勝2敗 + 76
松沢 二段 3勝2敗 + 57
小林 初段 3勝2敗 + 23

 この7名が新潟代表の可能性を残している。3名の1敗者同士は既に対戦を終えている
ので、1敗者対2敗者の対戦が組まれることになった。組み合わせの妙で、2敗トップの
針井初段は代表権争いにほぼ絡まないと思われる選手との対戦となった。

主な6回戦の組み合わせ
朝比奈―神田  梅沢―小林  佐々木―松沢

6回戦
 最初に終わったのは針井初段。持ち時間を半分以上残しての、早い終了であった。最後
は石差爆発で4勝2敗+131で終了。この数字は、他者の結果次第では逆転優勝の目もある。
しかし、1敗者が全員勝ち残れば代表権を手にすることはできない。全ては他力による「ま
な板の上の鯉」状態。

1敗選手の様子を見にきた針井初段に、対局中の朝比奈二段が何やら声をかけた。朝比奈
二段は話を聞いて、この対局は絶対に落とせないと、気持ちを奮い立てたに違いない。
いつしか3本目のペットボトルを空け、それを口にしていた。朝比奈二段もこの対局に敗
れれば、フリークラスの出場権すら得られない状況になったのである。
 神田三段は、他人の結果どうこうとは言えない立場に追い込まれている。まずはこの対
局で勝たなければ道は開かれないのだ。対局中の神田三段は、周りの状況からは一切耳を
閉ざし、盤面に集中していた。黒番を選択した神田三段は、使い慣れた虎定石からの進行
に持ち込んだ。

 新潟支部では最も序盤戦術に明るい朝比奈二段が、今日はほとんどの対局で相手より長
く時間を消費していた。本局もまた然りであった。中盤の黒は引っ張りに持ち込み、白の
朝比奈二段は手が詰まり気味の状態になってきた。

 重要かつ難解な試合であるがゆえ、本局の進行は極めて遅い。他の対局は次々と終了し、
ギャラリーが集まってきた。注目の梅沢戦、佐々木戦も決着がついた。1敗組がともに勝
ったため、この時点で梅沢四段は無差別代表が確定、佐々木三段も全日本の切符を手にし
た。残る切符の行方は、この神田-朝比奈戦の結果によって決まる。

 黒が引っ張り切りそうな展開になってきた終盤の入り口、41手目の局面。神田三段は勝
負の中辺横取りX打ち! これが決まれば神田三段の勝利である。しかしここから先の展
開が難しく、次の43手目が無念の敗着となった。44~46を打って勝利を確信したのか、朝
比奈二段には安堵の表情が伺えた。47を打ってから天を仰いだ神田三段だが、その数手前
には敗戦を覚悟していたかのように見えた。

 6回戦が終了してから、注目の佐々木三段の動向を確認したところ、彼は出場辞退を明
らかにした。彼は全日本選手権にスタッフとして参加するとのこと。実は大会運営要綱に
は、既に彼の名前も記されていたとか(?)
 佐々木三段の辞退を受けて、4位の針井初段のフリークラス代表が決まった。針井初段
は、燕三条駅93/4番線発の電車に乗って東京へ行くという噂も…。

 かくして大激戦の2009年新潟ブロック大会は幕を閉じた。

優勝 朝比奈二段 無差別代表
2位 梅沢 四段 無差別代表
3位 佐々木三段 スタッフ参加
4位 針井 初段 フリークラス代表

4名の選手&スタッフの活躍に期待したい。